時代のトレンドや需要によって提供されるサービスは変化していきます。現在、日本はこれまでの生活スタイルから大きく変化した状態であり、実家には年老いた親だけが生活していることが多く、孤独死は誰にも他人事ではありません。
遺品整理に割ける時間も限られており、外注する人が増えることで遺品整理市場も拡大を続けています。ここでは、遺品整理の需要やサービスの範囲など遺品整理の市場についてお伝えしていきます。

■増え続ける遺品整理需要

これまでは人が亡くなると、その遺族が中心となって遺品整理を行ってきました。実家には子供夫婦が同居しており近所には親戚がいて、いざという時には助け合うことができ、人手も潤沢にあるというのが一般的なスタイル。一方、現在社会を支える30~40代の方が生まれた1970~80年台の出生率は2~1.3です。つまり、子供は1~2人が一般的であり、進学で都市部に出てしまいそのまま生活基盤を築き、離れて暮らす核家族スタイルが一般的で未婚率も増加しています。
親が亡くなっても、遠方まで遺品整理しに行くのは難しく、手伝ってくれる兄弟や親戚もいない場合が多くなりつつあるのです。また、1人で暮らしている親世代の方も、「もったいなくて捨てられない」「処分したいけれど体力がない」など、遺品整理のハードルを上げているケースも多いですね。
もちろん、多種多様なケースはありますが、
・少子化
・核家族化
の2つが、これまでの生活スタイルを一変させており、遺品整理サービス需要を支えているといえます。
また、孤独死が増え、専門のサービスを頼らなければ処理できないケースが増えているというのも要因の1つです。
高齢者の一人暮らし世帯は1980年は88万人でしたが2015年には600万人と6.8倍以上の増加率で、2025年には700万人を突破すると予想されています。今後も孤独死の増加は避けられず、遺品整理市場も拡大していくことは明白です。

■遺品整理の範囲

・不用品回収

もう着ない衣服や使わない家具・家電、日常生活で生まれたゴミから車などの大きなものまで、ご遺族が不要と考えるものは回収して処分するのも大きな役割です。まずは遺品整理の現場で分別し、分類ごとにふさわしい処分場へ運び、可燃や不燃など然るべき方法で処分を行います。

・買取・リサイクル

遺品の中で、まだ使えるものに関しては買取やリサイクルを行うケースもみられますが、業者によって判断基準や買取の有無は異なります。処分ではなく買取を行うことで、遺品整理にかかる料金の負担を減らすことができる、地球環境にも優しいなどメリットも多いため取り入れる業者も増えています。
ですが、買取を行うことができるのは「古物商許可」を得た業者のみであり、悪徳業者への依頼を予防するためにも買取の話が出た場合には許可証を確認させてもらいましょう。

・貴重品探し

一人暮らしの高齢者の場合、思わぬところに貴重品をしまっているケースがみられます現金や通帳、遺言書などご遺族が探しても見つからないものは遺品整理作業中に探すというのも遺品整理の大切な役割です。折込チラシが詰まったお菓子の缶の中から貴金属が出てきたり、本の中から遺書が出てきたりと一瞬たりとも気を抜くことはできません。

・供養

故人が毎日使っていた茶碗や、大切にしていた人形や仏壇などそのまま処分するには忍びないというものも多いのが遺品整理の特徴です。遺族が希望する場合、提携する寺社などで供養を行っている業者も多くみられます。ただ捨てるだけでなく、遺族の心に寄り添った作業というのも遺品整理の範囲といえるでしょう。

・特殊清掃

孤独死してしばらく発見できなかったという場合は、臭いや体液によるシミなどがひどく、通常のクリーニングでの原状回復は不可能です。遺品整理業者の中には特殊清掃を請け負っているものも多く、もしもの場合は頼ることができます。

・業者それぞれの特色

遺品整理業者は年々増加しており、差別化によって顧客獲得するために独自のサービスを提供しているケースも増えています。相続や不動産会社との交渉のために法律相談を受け付けている場合や、特殊清掃だけでは間に合わない部分をリフォームして原状回復するサービスなど、業者によって多彩なサービスがみられます。

■まとめ

遺品整理は今後さらなる需要増加が見込まれており、参入する業者が増えることは必然です。そこで問題になるのが「業者の質」!現在もピンからキリまでさまざまなレベルの業者が混在しており、中には悪徳業者も紛れています。国民生活センターへの苦情も増えているとの結果が出ていますが、依頼する際は資格や許可証を確認するなど実力のある業者であるかを確認することが大切です。